溺愛〜ラビリンス〜
「…ちょっと用があったから先に行っただけだ。ガキじゃねぇんだから、学校くらい一人で来れるだろ?」
俺がそう言うと大輝は剥れた顔をする。
「龍也は一緒だったろ…」
「龍也はお前と違って寝坊しねぇからな?今日はいつもより早く登校するつもりでいたんだが、アイツちゃんと起きて登校できる状態だったから一緒来ただけだ。」
まだ納得いかない顔の大輝だったが、チャイムが鳴って話しは終わった。
授業中もいつ上森から連絡がくるかと心配しながら携帯を見つめていた。でも俺の心配を他所に何事もなく午前中は終わった。
俺は心配で休み時間のたびに柚のクラスに行き柚の様子を見た。
昼休みは翔真達と食べると聞いていたから安心をしていた。
放課後、柚は鈴原が教室に迎えに来て帰って行った。遠くからその様子を見て初日が何事もなく終わった事に安堵した。
柚が帰ってすぐ立花が教室を出て行った。
帰ろうと思っていたが何となく教室に足が向く。
入口付近まで行くとため息が聞こえてきた。
「ハァ…」
中を見ると教室には上森だけだった。こんな上森を見た事がなかったから一瞬声をかけるのを戸惑う。