溺愛〜ラビリンス〜

「それじゃ、またね。」


挨拶をして教室を出た。
悠斗の横を通り過ぎる時目が合った。お互いに一瞬睨み合いすぐに視線を反らした。






夏休みに一緒に勉強した事で僕と柚ちゃんの距離は確実に縮まった。

それまで「鷹宮くん」だったのが、「あつくん」になった。

夏休みの宿題は柚ちゃんが分からない所を僕が教えてあげたりして、頼られる存在にも少しずつなっていった。


でもキングがプールが終わるとすぐに図書室に来て、僕から引き剥がす様に柚ちゃんを連れて帰ったのが誤算で、それがなければもっと仲良くなれて悠斗より柚ちゃんに近い存在になれたのに……当時そんな風によく思った。


何度か柚ちゃんに「僕が送るよ」と言ったけど、


「ダメなの。ママからお兄ちゃんの傍に居なさいって言われてるの。それにママと一緒じゃない時は、お兄ちゃんの言う事を聞く様に言われてるから勝手な事はできないの
。」


と断られてしまった。彼女の家では、柚ちゃんの防犯に神経質になっている所がある様だったのでそれ以上無理強いはできなかった。





< 46 / 671 >

この作品をシェア

pagetop