溺愛〜ラビリンス〜
渉くんは私の頭を撫でながら、優しい声色で小さい子を褒めるように私にそう言ってくれた事が、半分嬉しくて心が暖かくなって、半分は、何だかおかしくて笑い出したい気持ちになった。
「フフフッ…」
私が堪えきれずに笑い出してしまった。その笑い声に渉くんは一瞬キョトンとしたけど、すぐに渉くんも一緒になって笑い出した。
「渉くん…翔兄ぃみたいな事するんだもの…」
私が笑った理由を言うと、渉くんは笑いを納めてでも笑顔のまま
「翔真の前でこんな事したら殺されるだろ?でも今は翔真がいないからね…チャンスだから翔真が目を覚ますまで、俺が翔真の代わりに柚ちゃんの兄貴をやる事にした。」
と言った。
「…渉くん…。」
「翔真の事だから、俺に嫉妬してその方が早く目を覚ますかもしれないだろ?」
渉くんはクスクス笑いながらそう言った。そこには、早く目を覚まして欲しいという渉くんの気持ちが感じられた。
「フフフッ…そうだね。じゃあ、翔兄ぃが目を覚ますまで、渉くんをお兄ちゃんだと思って頼りにするね?よろしくお願いします。」
私は渉くんに軽く頭を下げた。