溺愛〜ラビリンス〜

「さてと…私はお花生けちゃうね?」


健人のからかいを無視して柚は病室を出て行く。柚が病室に飾る為に花を買って来てくれ、その花を生けるようだ。


「おい、柚を一人にするな。」


「了解。」


さっきまで柚をからかっていた健人が、真顔に戻り柚の後を追う。


柚と健人が出て行って、凌と二人になった病室はシーンと静まり返っていたが、すぐに凌が口を開いた。


「渉から話し聞いたんだろ?大丈夫か?」


「…あぁ。」


俺は凌と視線を合わせないで返事をした。


「渉が、翔真は思ってたより冷静だったって言ってたけど、本当の所はどうなんだ?」


凌は臆する事なくズケズケと聞いてくる。


「…チッ」


俺が苛々して舌打ちすると凌は微かに笑った。


「何とも思ってないって訳じゃないよな?まあ、思ってた通りで安心した。それで…翔真の気持ちや考えを聞いておきたい。それによってはこっちも準備をしておきたいからな?」


まるで俺の心を見透かしたような口振りの凌に、諦めて口を開いた。


「…退院したら、悠斗と二人で話しをする。」





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