溺愛〜ラビリンス〜

凌達が出て行った病室に柚と二人になると、急に緊張してしまった。
柚も俺と同じなようで、やはり緊張しているように見える。


「あっ…健人くん達…帰ったんだね。」


柚がいつもより少し高く早口で話しかけてくる。 明らかに緊張しているのが分かった。


「あぁ…」


何とかこの空気を変えたいと思ったが、どうすれば良いのか分からなくて言葉が続かない。柚はそんな俺をどう思っただろう…


「…翔兄ぃ…あのね…退院したら、二人で前行った遊園地に行きたいな…」


「遊園地か…分かった。柚?」


「うん?」


「早く治すからな?楽しみにしていろ。」


「…うん。」


柚はきっとそこで告白するつもりなんだろう。自分の罪を懺悔するつもりなんだと思った。

でも今はその傷に触れる時ではない。だから何も気づかない振りをした。









そして1ヶ月の入院生活が終わり、退院する事になった。


体は元通りとまではいかないが、なんとか日常生活が一人でも送れそうな所まで回復していた。




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