ツンデレ社長の甘い求愛
「ワンッ!」

「え、ちょっとカイくん!?」

すかさず走り出したカイくんに引っ張られていく。

もちろんカイくんが向かう先は、同じように一目散に駆け寄ってくる愛しのラブちゃんの元。

暗い歩道。
けれど街灯の下に来ると、お互いの顔がハッキリ見える。


私と同じように引っ張られて走らされていたのは、山本さんだった。

相変わらずジャージ姿に、ボサボサの前髪で顔がよく見えない出で立ち。

なのになぜだろうか、胸が騒ついてしまうのは。

「こんばんは、もしかして今からお散歩ですか?」

彼を見つめたまま、胸を高鳴らせてしまっていることなんて知る由もない山本さんは、普通に話し掛けてきた。

「あっ、いいえ! 伯母が来ていて今帰ったところでして、カイくんとお見送りしていたんです」

「そうだったんですか」

まさか平日の、しかもこんな遅い時間に会えるなんて夢にも思わなかったから、偶然とはいえ嬉しい。
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