ツンデレ社長の甘い求愛
「でも最悪なことに、会社でなにかと突っかかってきた部下のことも気になり始めた。俺は一体どっちが好きなんだって葛藤していたとき、じいさんの企てで出張を共にして。……空港で言われた言葉に、完全に心を奪われたよ。あぁ、こいつのこと好きだなって。気づいたら抱き寄せていた。……危うく唇にキスしそうになったのを、どうにか頬をとどめてな」


そう言うと社長の顔が近づいてきて、あっという間に唇を奪われていく。



すぐに唇は離され、意地悪な顔をして「こんな風にな」と囁かれた瞬間、思わず「最低です」なんて可愛げのないことを言ってしまった。


なのに社長は愛しそうに私を見つめてくる。


「馬場があの日、俺に「長日部」と名乗ったのは、俺が表札を見て勘違いしたからだろ? ただの隣人に一々説明するのが面倒だったんだろ?」


なにもかも見透かしたような目に私は頷いた。


「はい。……ここは伯母の名義のマンションなんです。私はただ住まわせてもらっているだけで。……社長のおっしゃる通り、挨拶を交わすだけの隣人に、わざわざ説明して名乗らなくてもいいと思いまして……」


言葉を濁してしまうと、社長は顔をクシャッとさせ「だと思った」と言った。


その笑顔にまた胸がキュンとしてしまう。

社長の笑顔は素敵すぎる。

会社では笑わないからかな? こんなにも眩しく見えてしまうのは。
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