ツンデレ社長の甘い求愛
その後、残っているスタッフに挨拶を済ませ、控室で着替えてからカフェを後にした。


「うわぁ、すごい行列だ」

従業員専用口から出てカフェの前を通ると、そこには先ほどより長い列ができていた。


客席数はそれほど多くないし、行列はできても仕方ないけれど、待たせているのに上がってしまって、申し訳ない気分になる。

それでも待っているお客様は、メニュー表を見ながら顔を綻ばせているのを目の当たりにすると、私まで嬉しくなる。

自社製品愛が強いのか、他の部署の開発商品だとしても嬉しいものだ。


行列を眺めながらゆっくりと最寄り駅に向かっているときだった。

「ちょうどいいところにいた」

「――え、わっ!?」

背後から突然聞こえてきた声を共に、がっちり掴まれてしまった腕。

なにがなんだか分からぬまま連れられていく。

混乱する頭。そして視界に映るのは大きくて逞しい背中。


――ん? ちょっと待って。この自信に満ち溢れている堂々とした後ろ姿……見覚えがあるぞ。
それに声も……!

徐々に冷静になり、色々と把握できてきた頃、行きついた先はカフェに並ぶ列の最後尾。

そこでやっと掴まれたままの腕は解放され、犯人の顔を拝むことができた。
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