好きになるまで待ってなんていられない


「社長…、ちょっといいですか」

「あ、ちょっと待て。…よ、し。いいぞ?」

…。

「お話があるので、時間を作って欲しいのですが」

「…どうした」

いやに改まってるじゃないか。

「あの…出来れば早い方が嬉しいです」

「仕事が終われば、今日にでも大丈夫だぞ?
遅くなっても構わないのならだが」

「では、今日でお願いします」

「どうする?
ここ出る時に連絡入れるようにして、どっか行くか?」

「あ、…えっと」

「どうした成美…どうする?」

珍しく歯切れが悪いな。

「あの、やっぱりいいです、メールにします。
だから、時間は敢えて作って頂かなくて大丈夫です。
お疲れ様でした、お先に失礼します」

「あ、成美。おい」

…メールってな、…。
話があるから声を掛けたんだろ?
直ぐ連絡してくるのか?
時間が欲しいって言うくらいの話、メールで出来るのか?

…。

あ゙ー。これを片付けてしまわないと出るに出られない。

あんな成美は…。
誰が見ても様子が可笑しかった。

…。


ブー、…。

【成美、帰ったらどこにも行くな。
いいな、部屋に居ろ。藤木】

社長…。
上手く言えるかどうか解らない、そう思ったら結局逃げるように帰って来てしまった。

…覚悟が足りなかった。

はぁ…。
……情けない。…はぁ。

何もかも考えたら、全てが怖い。

ブー、…。

【いいか、連絡するから、居ろ。絶対どこにも行くな】

はぁ、社長…すみません。

忙しそうだった。
仕事の邪魔をしてしまった…。

いくらなんでも、これはメールって訳にはいかないのに。

郵送ってのも駄目に決まってるし。


メールするって言ってあるし。…んー。

【社長、長い間お世話になりました】

こんな書き出しだとあんまり良くないか。

あ゙っ!…、送っちゃった…。
続き…特に無いのよね。

挨拶くらいで具体的に書くことって、こんな場合は無いものよね。


はぁ。

最近凄く眠たくて怠くて、本当にもう、徐々に限界かも…。
何より年齢を考えてしまう。

…。

タッタッタッ…。
カチャ。

ん?

「はぁっ、はぁ……な、成美っ!!」

えっ?

は、い…。「は、い?」


「成美ー!」

「うっわ。社長ー。
えー?!社長!何ですか?いきなり、え?」

「はぁ、…どういう事だ、こ、これ!
お前、なにか?
死ぬつもりか?!」

あ、中途半端なメール。…。

「いいえ?」

…。

「あ?はぁあ?」

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