好きになるまで待ってなんていられない
…。
「すみません。やっぱりメールでは駄目ですよね」
「…成美、…はぁ」
「あ、社長?」
「はぁ…もう一度聞く。死ぬ訳じゃないんだな?」
「はい…?、しませんよ?そんな事」
「はぁぁ、成美…。勘弁してくれ…」
ヘナヘナと一緒に座り込んだ。
「あの…社長、仕事は?」
…。
「社長?」
「…やめた。
こんなメールが来たら出来る訳がないだろ。
珍しく深刻そうな顔をして話があるなんて言ってたじゃないか。
どういう事だ」
…。
「あの、あ、社長、車は?」
「車?車は路肩に停めたままだ」
あ、…。
「駄目です。ここ、凄くパトカーが巡回してるんです」
駐禁で切符を切られてしまう。
「取り敢えず車に戻ってください。移動した方がいいです」
「成美、一緒に出よう。
このまま出られるか?」
…仕方ない、かな。
「はい」
「よし」
腕の中から解放された。
「先に下りてるから、ゆっくりでいい、後から来い」
社長は階段を駆け下りて行った。
…はぁ。
バッグを手にゆっくりと玄関に向かう。
…死ぬだなんて。そんなことはしない。
迂闊だった。後からメールを直ぐ入れるべきだった。
ゆっくりと階段を下りると、淡い街灯の中、運転席にも乗らず社長が待っていた。
「すみません」
「取り敢えず、乗ってくれるか」
「はい」
車は走り出した。
「はぁ…成美、お世話になりましたとはどういう事だ」
「これを、…渡して辞めようと」
バッグの中に入れてある封筒に触れ、そう言った。
…。
「どうするんだ?」
「はい?」
「辞めてどうするんだ?」
「暫くは何もしません。
私、…地味に生きて来たので、これでも貯金はしてあるんです。
だから、暫くの間なら困りません」
「理由は」
「辞めたくなったから、…続けられなくなったからです」
「フ。ま、…違いないな」
「はい」