好きになるまで待ってなんていられない


…どうして、この男は私を虐めるの。前回の事、謝ってくれたばっかりじゃない。
それなのに。…嫌なのよ、こんな振り回されてるみたいなの。…何?


「ストレートに出る?それとも…俺がまた抱き上げようか?」

何言ってるの?また小さい子供のように抱え上げられるの?
そんなのはもう嫌。
だけど開けてくれないと出られない。

…。

カチャン。

「どうぞ」

…。

外に出てヒールを履いた。バッグを拾い上げた。お礼なんて言わないから。

…。

なんで、こんな遠回りして…。
思い切り走り去りたいのに、出来ないのももどかしい。

も一度、ヒールを脱いだ。手に持った。階段目指して裸足で走った。
あいつが見てると思う中、走っていると思うと虚しかった。
でも、走った。走る程の距離でも無い。でも走った。

階段もそのまま駆け上がった。
明かりを点けなかったから、間隔が解らなくなって踏み外しそうになった。怖かった。
足の指だって何度も打った。

痛いけど止まれない。
靴が片方落ちた。慌てて拾い上げた。パソコンは落とす訳にはいかない。

後少し。はぁ、もう、足が、腿が上がらない。…日頃からもっと走っておけば良かった。


塞がった手でなんとか鍵を出し開けた。
今夜もまた部屋に逃げ込むなんて…。
バタン。…はぁ。…はぁ。

…何なの。
あー、もう…、私が悪いのか。
中に入っちゃったから。
でも…何なの……。
…。もうー。

ふぅ。足…、痛い。痛いー!…。

…。

とにかく…洗わなくちゃ上がる事も出来ない。

…。

最悪…。引っ越す事も出来ない。
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