好きになるまで待ってなんていられない
私はこの言葉に素直に従って帰る?
それとも、今夜は帰らないって言う?
「あ、まだあるから、プリン持って帰ってくれ」
「あ、はい…」
入れてくれたケーキボックスを渡された。
これで帰る事になったって事ね。
来た時と変わらない。車の中で喋らない。揉めてないからだけど…だけど、私は…違う。
整体院の前に車を停めた。
フェンスを開けて中に入って行く。
?、私を送ってくれたのなら、ここまでは入らない。
…あぁ、何か仕事で立ち寄らないといけない事でもあるんだ。
だから、きちんと入れたんだ。
「降りて」
「あ、はい。はい」
二人共降りた。
やっぱり用があるんだ。ピと施錠した。
「行くか」
「はい。…え?」
手をこっちに出している。
「ん?あんたの部屋」
…。
「え゙ー!?」
「ほら」
手を繋がれた。え、ちょっと。
ズンズンと凄い勢いで歩いている。駐車場を通り過ぎ、フェンスを閉めて鍵をした。
また手を繋がれた。
「あ、ちょ、ちょっと?どうして…貴方まで…」
行くの?
「どうして?いいから早くしろ。あんただって、男とこんなとこ、近所の人に見られたくないだろ?早く」
足が縺れるくらい急かされていた。とにかく、移動だけは早くって事。…ん?
違う違う。
階段の途中で足を止めた。
…ここまででいいじゃん。むしろ、駐車場でいいじゃん。
なんで、私の部屋に。なんで部屋を目指してるのよ。
「がっ。おい、どうした急に止まって」
「なんで?何故部屋まで行こうとするの?」
「…あ゙?」
「有難う。おやすみなさい」
手を振り払ってプリンの箱をしっかり掴み、駆け上がった。
…。
「あ、おい!こら、待て」
待てと言われて待つ訳ないでしょ。止まる訳ないでしょ。
先に着いて、ガチャガチャと鍵を開けている間に追いついて来た。
早く…早く…開いて。
開いた。中に入って閉めようとしたらガツンとドアに手を掛けられた。
「キャッー!」
ドアを必死に引っ張った。
「はぁ、はぁ、こら…入れろ」
「い゙、…やー…」
ん゙ー。力一杯閉めようと更に引っ張った。
「痛っ!あほ、やめろ。俺の手が挟まるだろうが」
「だったら。離しなさいよ。ねー」
ん゙ー。ん゙ー。
引き合った。
…こうなったら敵うはずが無い。とうとう開けられてしまった。
「はぁ、…素直に入れろ」
玄関に侵入して来た。
「俺の手に何するつもりだ。怪我したらどうすんだ」
「そんな事、知らない。怪我して困るなら差し込まなきゃいいでしょ?」
「今からするんだ。部屋に入るには、この状況だ。差し込むに決まってるだろうが」
…は、あ?
カチャンと鍵を掛けるともう抱き上げられていた。
「邪魔するぞ」