好きって言ったら、どうする?
私はわけが分からず
ついそのまま
その場に突っ立っていると
それに気づいたお兄さんが
こちらへ振り返って、
私に向かってまた 淡々と告げた。
「お前助けてたからバイトの仕事遅れてんだよ。だから、その証人になって。」
「しょ、証人…?ですか?」
「そう。だから早く来い。」
そう言うと
彼はまた歩き始めてしまった。
私は彼の言葉を聞いて
やっと、頭の中でいろいろと整理がつく。
(だからあんな格好してて、
ラーメン奢るなんて言ったのか……。)
私はそう納得して
改めて前にいる彼を見た。
どうやら彼は、ラーメン屋さんのバイトをしているらしい。
(………証人、か……。)
私は彼の頼みを
頭の中でもう1度繰り返す。
…確かに、彼に助けられたのは事実だし
お腹も 正直減っている。
なら……ついて行くべき、かな?
そう考えながら
私は彼に小さな恩返しをするつもりで
大人しく 後ろをついて行くことにした。
───そして
彼の言う通り
ものの数分で
目的地であるその場所へたどり着く。
───【らぁめん 岳(がく)】
そう書かれた暖簾をくぐり、
私は彼と お店の中に入った。