好きって言ったら、どうする?
すると
中はすでにラーメンの香りが
モワッと広がっていて
数人のサラリーマンが
カウンターに座ってラーメンを食べていた。
その中に彼が足を踏み入れて
厨房の方へ声をかける。
「店長、戻りました。」
「遅ぇぞユウ!!
お前どこで油売って---。」
お兄さんが声をかけると
まるで殴り込みに行くかのような
荒い口調が耳に入ってきて
私は思わず、ビクッと肩を揺らす。
しかし
その『店長』らしき男の人がやってきて
その人が、彼の隣にいる私を見ると
その人はピタッ…と、
突然 怒鳴るのをやめた。
「……え。」
そして店長さんは
私を見て困惑したように眉を寄せると
小さくそんな声を漏らして
それからまた、お兄さんに視線を戻した。
「誰だ、この子…?」
「変な奴に絡まれてたんで、助けてました。」
「……あ?助けてた??」
店長さんが彼に尋ねると
お兄さんが淡々とそう告げる。
店長さんはそれを聞くと
私をジッと見て
「どういうこった?」と尋ねてきた。
私は少しおどおどしながらも
彼に助けてもらった経緯を
全て説明した。
「す、すぐ近くの公園で
私が男の人たちに絡まれていて…
そこをこのお兄さんに助けてもらいまして……。」
「ほう…?」
店長さんは私の言葉を聞くと
腕組みをして少々黙って
なら仕方ねぇな!と
納得したように頷き
お兄さんの背中をバシッと叩いた。
「良いことしたなユウ!
それでこそ男だ!」
「…うす。」
そう褒められながら
厨房へ連れて行かれるお兄さん。
私がそんな彼の背中を見つめていると
くるっと、
お兄さんが顔をこちらに向けて
お店の奥を 静かに指差した。