お前の口に焼きそばパンをねじ込んでやりたい
やられたらやり返す
妻が私を裏切った。

あろう事か私のショートケーキの上に載っていた苺を掠め取って食べたのだ。これは許しがたい暴挙である。

私がショートケーキを食べる時はいつも周りから食べてゆき、苺とその真下のスポンジを残す。そして最後にそれらをまとめて口に入れ咀嚼する。その快感といったら脳ミソが溶けるかと思えるほどだ。

妻も私が苺とスポンジの調和を何よりも重んじるのを誰よりも知っているのに「どーだ!」とか言わんばかりの得意顔での犯行ときた。しかも私がやり返せないように、ちゃっかり自分の分は食べ終わってからだ。

心のどこかで(そんな顔も可愛いな)とか思うが口には出さない。言ったら益々増長するからだ。男は寡黙が一番である。

だが妻はまだ私の事を理解していない。私は相手が女であるとか妻であるとかとは関係無くやられたらやり返す男だ。

罪には罰を。

煮え湯を飲ませてやる。

いや待て私。苺ぐらいで煮え湯は可哀想じゃないか?もう少し適度な罰にしようじゃないか。まあ煮え湯を飲ませるってのはただの慣用句で、最初から本当に煮え湯を飲ませようとは思ってないけども。

そう言えば妻はずいぶん以前から「そろそろダイエットしなきゃ」と言っている。それはもうどれだけ以前からかは思い出せないほど前から。

確かに妻は結婚前と比べるといくらか肥えた。まあ私としてはそんな彼女もモチモチしていて美味しそうなので割りと気に入っている。だがもちろん口には出さない。

よし。罰は決まった。

妻への罰は体型を気にする彼女に余計なカロリーを摂取させる事である。そう、何か炭水化物のカタマリがよいだろう。

という考えに至った瞬間、私の頭に浮かんだのは焼きそばパンである。私も妻も大好きだ。確かに焼きそばパンは炭水化物のカタマリである。これにしよう。

クックック。覚悟するがいい。近々食事で充分カロリーを摂取してからデザートがわりにお前の口に焼きそばパンをねじ込んでやるからな。

そして私は暗い決意を胸に秘めながら、ケーキの取り皿とフォークを二人分シンクへ運び洗うのであった。


    ーおわりー

読了感謝!


  2016.9.19
                のじ



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