極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「萌はどこに住んでるの?」

恭介は紅茶を優雅な仕草で手に持ち、私に目を向けながら口に運ぶ。

「高井戸の方です」

私はフォークを持った手を止めて答えた。

「高井戸ね。結構通勤時間かかんない?」

「電車一本じゃないですけど、家から会社まで一時間以内で行けるので普通ですよ」

「でも、この一ヶ月は通勤も辛かったんじゃないの?」

恭介は紅茶のカップをソーサーに戻すと、じっと私を見た。

「家に辿り着くのがやっとで、まともな食事をとる余裕なんてなかったです……ね」

電車の中で寝過ごして終点まで行っちゃったりとか……いろいろあった。

遠い昔に感じるけど、つい先日まではそれが日常だったのだ。

今日からその日常生活に戻るわけだけど……。

「朝からこんな優雅な朝食夢みたい」

私ってどんだけ甘やかされてるんだ。
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