極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「では、俺も記憶力はいいんで手ぶらでいいですか?」

俺も悪ノリしながら聞くと、真木さんは真顔で返した。

「高橋はお財布だけは持ってきて」

要するに外に食べに行くんだな。

「はいはい」

苦笑しながら返事をすると、俺達三人はビルの裏口に停まっていたタクシーに乗った。

「神楽坂まで」

真木さんが運転手に行き先を告げると、タクシーは静かに発進する。

「いや~、早朝からじいさん連中の相手をするのは疲れるわ」

真木さんは後部座席に持たれかかると、ネクタイを緩めた。

「それはお疲れ様です。で、今どこに向かってるんですか?」

俺は真木さんの愚痴は軽く流して行き先を聞いた。

「い・い・と・こ」

真木さんはおどけた様子で答えるが、俺は冷ややかな視線を投げた。
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