極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「もう知ってると思うけど、さっきのじいさんは俺の祖父で水無瀬製薬の会長。それで落ち着いて聞いて欲しいんだけど、俺……来年の四月にイギリスに赴任することになりそうなんだ」

そう言って言葉を切ると、萌の反応を確認する。

やはり赴任のことも知っていたのか、萌は驚いた様子は見せずうつ向いてじっと自分の手を見ていた。

「萌」

愛おしげに萌の名前を呼んで、彼女の顎をクイと持ち上げ目を合わせる。

「一緒についてきて欲しい」

俺は真摯な目で告げる。

「萌のいない生活なんて考えられないんだ。萌には仕事を辞めてもらうことになるかもしれないけど、俺を信じてついてきて欲しい。恋人じゃなくて俺の妻として」

「……私でいいの?後悔しない?」

俺の目をじっと見つめながら萌は確認する。

「萌しかいらない。萌だけを愛してるし、これからもずっと愛し続けるよ」

自分の気持ちを萌に告げると、彼女は目を潤ませながら「恭介」と呟いた。
< 271 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop