極上な御曹司にとろ甘に愛されています
だが、彼を憎めないなって思う。

「お会計お願いしたいんだけど」

フッと微笑しながら、スーツの内ポケットに手をやり長財布を取り出そうとすると、萌の弟は頭を振りながら俺の手を止めた。

「今日は良いですよ。またお待ちしてます」

この人懐っこい笑顔で言われては、無下に断るのも悪い気がした。かと言って、お金を彼に渡すのも萌を金で持ち帰るような感じになっていい状況とは言えない。

「それは、ご馳走さま。またお邪魔させてもらうよ」

笑顔で礼を言うと、俺は名刺を取り出して萌の弟に手渡す。その流れでお互いの連絡先を交換していると、フラフラしながら萌が戻ってきた。

「あの様子だと……あと……三十分後には寝てるかも」

萌の弟が厄介なことをポツリと呟く。

これはすぐに彼女を連れて帰らないとマズイな。

俺は席を立つと萌のバッグを持ち、彼女に声をかけた。
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