極上な御曹司にとろ甘に愛されています
悪びれた様子も見せずに萌の弟は俺に頼む。

「大事なお姉さんを初対面の俺に預けていいの?この状況、悪い男ならホテルに連れ込むよ」

「高橋さんはしませんよ。だって、今、俺と話していても萌姉を気にしてトイレの方にたまに視線をやってる。悪い男なら俺が送って行くつもりでした。でも、高橋さんが優しい目でずっと萌姉を見てるからいいかなって」

……そんなとこまで見られてるとはね。

「……全く、君達姉弟には本当に驚かされるよ。まあ、こんなお膳立てされて、素直に彼女を襲う気にはなれないけどね」

「そう言うかと思ってました」

お日様のような笑顔で萌の弟が笑う。

彼も……俺と同族か。なかなか計算高い。

俺と姉が何か接点を持つことを望んでいるのだろう。

素面の萌に送ると言っても丁重に断られるのは俺にもわかる。彼女の弟はそんな彼女の行動を熟知していて、俺の取る行動も読んでいるのだ。
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