極上な御曹司にとろ甘に愛されています
小さく返事をして、私はガックリ肩を落としながら会議室を後にした。

部長に見捨てられた気分だ。

「受け入れるしかないのか……」

私は盛大な溜め息をつくと、沈んだ顔で酒田君に声をかけた。



それから、一ヶ月。

会社近くの書店で英語の参考書を買い、通勤の電車の中で地味に英語の勉強をした。

でも、英語で電話やメールのやり取りが出来る自信なんてない。英会話学校に行く時間的余裕も金銭的余裕もなかった。

おまけに、私の前任者の事務担当の子が急に辞めてしまってろくな引き継ぎも出来ていない。

不安で青ざめる私を見て、真木さんが優しく微笑んで私の肩をポンと叩く。

「そんな緊張しなくても大丈夫だよ。仕事は少しずつ覚えていけばいいから。それから、席は高橋の隣ね。あっ、高橋は紹介しなくてもわかるよね?」
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