極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「……嫌味な奴」

目を細め日高さんは憎らしげに呟く。

何だろう。胸がざわめく。このふたりのやり取りを聞きたくなかった。

別に仲良くしてるわけではない。でも、親密さが伝わってきて、ふたりの側にいるのが苦痛だった。

ふたりは身に纏っている空気が同じ感じがする。

この場から逃げだせたらどんなにいいだろう?

でも、今の私にはベッドから起き上がって逃げ出すことも出来ない。

発作のような咳が私を襲い、私は涙目で口を押さえた。

「彼女を休ませたいし、さっさと帰ってくれる?」

私の体調を気遣ってか、高橋さんは私の肩を撫でながら冷たい視線を日高さんに投げる。

「ホント、冷たい男ね。そんな子に育てた覚えないのに」

「こっちもあんたに育てられた覚えなんてこれっぽっちもないよ。早く帰れ」

高橋さんの邪険な扱いにも動じることはなく、日高さんは余裕の笑みを浮かべる。
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