お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「何の事かわかりませんが・・・私には関係のない事です。失礼します」

私は背中に暴言を浴びせられたけれど、どうでもよかった。何とでも言えばいい。先生にフラれた腹いせに、私をつるし上げるための飲み会を開いたのだと悟った。もう二度と、招かれることはないだろう。

由美子さんはステイタスの高い男の人が好きならそれでいい。けれど、他人の恋人や、配偶者を格付けするかのような事は許せなかった。

先生も、結局は知人の話は嘘でデートに持ち込む口実だとわかり、断ったと聞いた。

「僕に対しては、おべんちゃらを使うのに、由美子さん、君はトモミちゃんや詠美ちゃんの話には適当に流して答えてるだけだよね。人によって態度を変える女性は僕は苦手だ。もう失礼するよ」そう言われて、由美子さんは先生にフラれたそうで、トモミから話を後で聞かされた。

そしてその後風の噂によると、由美子さんはあれから歯科医師と結婚し、セレブな生活を送っているらしい。

由美子さんは徹底してステイタスの高い男性を見つけようとしていた。そこは感心してしまうけれど、それを機に、とにかくあの【食事会から解放され】喜んだものが多かったに違いない。

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