ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
「やるよ」
「えっ?そんな!赤いのは・・ともかくとして、富士山のは望月さんも気に入ってるんでしょ?悪いです・・・」

・・・ど、どうしよ・・感情が急に揺れ動いたからか、ムカムカがグルンと胸元を回った感じでなんか私・・・吐きそうなんだけど!

「いい。俺はもう着ねえから。ま、記念にとっとけ」
「き、記念って・・・」

だ、ダメ!しゃべったらやばぃっ・・・!

「おまえ経験浅えから、自分からは切り出しにくいんだろ?別れ話」
「・・・へ」

俯いていた私は、思わず向かいの望月さんを見て・・・まだまだ吐き気が込み上げているので、慌てて口を手で覆った。
そして、そのまま「わ、別れって、わたしたち、まだあぇ・・!」までかろうじて言ったものの、これ以上はもうホントに・・・限界、かも。

「ああ。俺らはまだ会えるが・・・それともおまえ、俺について来るか」

・・・望月さんが今、とても、とっても大事なことを言ってくれたのに。私・・・答えるどころか・・なんか、目が回りそうで、もうすぐそこまで吐き気が・・・吐きが、込み上がってきてて。
ダメ。ガマンできない・・・!

私は、ガタンと椅子を鳴らせながら立ち上がると、手で口を覆ったまま、急いでトイレに駆け込んだ。

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