ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
「てもう私ってば、何思い出してんのよ!?あの人の汗とか息遣いとかまでしっかり覚えてるし・・・やっぱりすごかったよね」

私は、思わずハァとため息をつきながら、手を伸ばしてお湯の栓を閉めた。

『一緒に厄を落としきりましょう。後腐れなく。今夜だけ』

・・・自分から男の人を誘ったり、そんな・・関係しちゃったのは、生まれて初めてだ。
酔った勢いがなければ、望月さんを誘うことなんて、とてもできなかった。
とにかく。あれは一晩だけの出来事。

あの人のおかげで、厄は落としきれたと思う。
後腐れはない。
だけど、「腐れ」じゃない何かが、「後」じゃない「あと」として尾を引いてるような・・とにかく、私のここに残ってる。

私は、自分の右手で左胸をそっと手を当てながら、「もちづきさん」と呟いた。

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