ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
「そうか。元はアネさんの父ちゃんが店主だったんだ。シゲは婿養子なんだよ」
「へぇ。そうなんだ。なるほど・・・で、なぜに“アネさん”なんですか?」
「年上の女房だから。3つ年上なんだ。アネさんの父ちゃんが、シゲに洋菓子の作り方を教えてな。そん時二人は知り合ったんだ。シゲはかなり引いてた。なんつっても元族だしな。堅気のお嬢、しかも師匠の娘に手ぇ出して。やべえだろ。互いに本気ではあったんだが。ま、結局のところアネさんの押しがなけりゃあ、くっついてなかったな」
「ふぅん・・・あのぅ、望月さんは、なぜグレたんですか」と問いかけた私に、望月さんは「うーん」と唸りながら、右手で顎をなでて数秒後、答えてくれた。

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