ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
「当時の俺は、突っ張って生きることは粋がることと同等で、それが一番カッコいい生き方なんだと思っていた。それに、グレることで発散させてたんだと思う」
「何を?」
「怒り、かな。当時の俺は不当な怒りを抱いてたと思う。いろんな事に対して、何でもかんでも怒りに変えてた。同時に、自分の身を守るために、逃げ場みたいなもんが必要だった」
「逃げ場?って・・」
「父親とな、うまくいってなかった。ま、よくある話だ」
「そぅですか・・・」

なんか私、聞いちゃいけないこと聞いちゃったかも。

隠そうとしたけど、シュンとしてしまったのが、向かいに座っていたらバレバレだったのかもしれない。
望月さんは「昔の話だ。気にすんな」と言ってくれた。

そして「ごちそうさん」と言って立ち上がったのと同時に、「風呂入るか」と私に聞いてきた。
いつもの無表情、そして淡々とした口調で。

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