ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
家一軒をほぼ一人で建てるなんて!
そんな話聞いたのも、そういう人がいるって知ったのも初めて!
今の私、驚きで目が真ん丸になってるんじゃないかな。

そんな顔で横にいる望月さんを見上げる私に、その当人は、いつものごとく無表情なまま、「大工だしな、俺」と、サラッと言うだけだ。

「とは言っても、家を一人で建てたのはこれが初めてだった。それもあって、どうせやるなら元々あった寺を再現するような家建てようと思い立ってな」
「あっ、そっか。それで・・この家って日本家屋なんだけど、古い趣の家って感じにこの雰囲気は、お寺っぽい感じだったんだ。本物のお寺にしてはかなり小さめだけど」
「だろうな。土地全体はかなり広いんだが、住居スペースとして80へーベー使った。俺としては一人で暮らすからな、60もあれば十分だろうと思ってたんだが。ま、それでも住居スペースは全体の3分の1だ」
「じゃあ、残りの3分の2は庭ですか?」
「ああ」
「そこに野菜を植えている、と」
「果物も植えてる。ってーか、栗と柿の木は元々あった」
「そうですかぁ。なんか、いいですね。自分ちの庭で育った果物とか野菜を食べるって。意外と贅沢じゃないですか?」
「今の時代だったら何て言うんだろうな・・・エコライフってやつか?」と無表情な顔で聞いてくる望月さんには悪いけど、私はプッとふき出した。

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