なんでも夜




そう意味ぶかに笑ってから巴は
私よりも先に下に行ってしまった。


残された私はどうしてもその扇が気になり
その扇を開いてみるとそこには
綺麗な藤と蝶、月が描かれていた。

黒の色をした扇には紫色の藤
白い蝶と月が合っている…
そして要の部分には青色の月が飾られている。
とても…美しいと思っていた。




「なんだ見ていたのか」


「…とても…美しい扇だね」


「…俺の名をつけてくれた奴から貰った物だ」


「名付け親?」


「あぁ」


「ふぅん…大切なんだね」


「あぁ…そうだな」



妖でもこんな顔をするやつがいたなんて
知らなかったけど、
少しだけ、怖くなくなったかな…




「さて、下行こうかな」



これから始まるであろう私の新しい生活…
またその一歩を踏み出そう






 
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