なんでも夜




起きあがるとまだ朝日が登り始めたばかりだった。
横を向けば巴がくるまりながら
眠っている。



「葵…」


「誰だそいつは」


「うわっ起きてたの!?」


「悪いのか?」



いや、悪くはないけどいきなり声をかけてくるのは
やめてほしいと思うよ



「それで?葵とは誰だ」


「…さぁ」


「知らんのか?」



知らない…確かに私はあの人を知らない
でも、自分の中のどこかで
何かを必死に思い出そうとしているのは確か
それがなんなのか…思い出せない




「夢に…でてくる」


「夢?」


「藤の花に囲まれて、その真ん中に
葵と私が立っている…
髪の色、瞳の色、面影、会ったことがあるはずなのに…
思い出せない」



あの人を追いかける…追いかけないといけない
何故、そう思ってしまうのか…




 
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