Open Heart〜密やかに たおやかに〜
17、12月23日

階段を上って自分のフロアに戻る途中の廊下で、向こうから来る宮本くんを見つけた。

「宮本くん」

呼んだけれど、どうやら聞こえなかったみたいだ。

宮本くんは、まるで猛牛みたいな勢いでフロア内に入っていく。

なんだか宮本くんは肩を怒らせているように見えたが気のせいだろうか。

ものすごく嫌な予感がして、急いで私もフロア内に入る。

フロア内に入ってすぐに目にした光景を見て驚いた。

宮本くんがシュウちゃんのデスクの前に立って、シュウちゃんのシャツの襟首を掴みあげていた。
「岡田課長!!一体どういうことですか!今更、専属契約を破棄するなんて!俺を、俺の工場を潰す気ですか!」

響き渡る宮本くんの大声に社員全員が仕事の手を止めて宮本くんとシュウちゃんを注目する。

苦しそうに顔を歪めたシュウちゃんは、椅子の後ろへ引き襟首を掴む宮本くんの手首を掴み離れさせようと力を入れていた。

周りにいた男性社員も慌てて宮本くんのそばに寄ってきて宮本くんの体を掴み、ようやく数人がかりでシュウちゃんから宮本くんを離すことが出来た。

「宮本さん、一体どういうことですか。落ち着いてお話しを」
立ち上がり、ネクタイを緩めるシュウちゃん。


「その必要は無い」

私の後ろから低くて大きく響く声が聞こえてきた。振り向いて声の主を見る。

「社長…」

振り向いた先にいたのは、イマイングループの社長。つまり、シュウちゃんの父親だった。

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