闇喰いに魔法のキス




私が、予想外の言葉に目を丸くした、次の瞬間。

ギルが今までで一番大きな刃をラルフに向かって放った。



ラルフが不敵な笑みを浮かべながらギルに叫ぶ。



『何度攻撃魔法を仕掛けても同じことです!

本気で私を消す気がない以上、あなたに勝ち目はありません…!』



ラルフが、ギルの攻撃を剣で受け止めた

その時だった。



…パキン…!



『?!』



ラルフの手にする剣が、小さく音を立てる。



その音を聞いたギルは、一気に薔薇色の瞳を輝かせた。



ゴッ!!と、ギルの放った刃の威力が大きくなる。



…!



ま、まさか……

ギルの狙いは初めから、ラルフじゃなくて…



私が、はっ!とした

次の瞬間。



バキン!!



大きな音が辺りに響いた。


剣が真っ二つに折れるとともに、ギルの攻撃に巻き込まれるようにして粉々に破壊されていく。



『な……!』



ラルフがメガネの奥の瞳を揺らがせたその時

ギルがミラさんに向かって大声で叫んだ。



「今だ!」



その声を聞いたミラさんは、流れるような動作で魔力を放出し

ラルフに向かって腕を突き出した。



ドッ!!



光の魔力が、ラルフに向かって放たれる。



私が息を呑んだ、その瞬間。

ラルフの体が、ミラさんの放った魔力に包まれた。



まるで、真っ黒い絵の具が白に溶かされるようにして、闇の魔力が浄化されていく。



…っ!

ラルフが、魔力を奪われていく…!



タン、とギルが地面を蹴ってラルフから離れ私たちの側へと着地すると

ラルフは完全に魔力と戦意を無くしてその場に、がくん…!と崩れ落ちた。



お…終わっ…た…?



ふっ、と、体を支配していた緊張が解ける。



顔を上げて隣で荒く呼吸をするギルを見上げると

彼は身体中に傷を負っているが、致命的なダメージは受けていない。



…ギル…無事だ……。

よかった……。



ほっ、として肩の力を抜くと、ミラさんがラルフに向かって歩き出した。



険しい顔をしてミラさんを見上げるラルフに彼女は冷静な声で言い放つ。



「ダウト幹部、ラルフ。

無駄な魔力は使いたくないので、今さら抵抗はしないでください。…あなたをタリズマン本部まで連行します。」



『……っ。』



悔しげなラルフに、ミラさんは自身の魔力で作り出した手錠を出現させて歩み寄る。



…これで、やっとラルフと決着がついて

この戦いに終わりがくる…。



私たちが、無言でその光景を見つめていた

その時だった。



シュン…!



突然、薄暗い透明な壁がミラさんとラルフの間に現れた。



「っ!」



ミラさんは、とっさに後ろへ飛んで距離をとる。



な、何…?!



ギルとロディが、さっ、と真剣な表情を浮かべた瞬間

辺りに威厳のある低く冷たい声が響いた。



『…ラルフ。

どうしてギルとタリズマンがここにいる?』



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