「えっ、何がですか?」

何を心配されているのかよくわからない。

「だって…田ノ下さん、女の子ですし。

私、田ノ下さんといっちゃんが同室だと聞いて心配で心配で…」

「曽根原さん、大丈夫ですよ。

僕、こう見えてもジェントルマンなんですよ?

田ノ下さんに変なことをしませんって」

曽根原さんの言葉をさえぎるように、伊勢谷さんが笑いながら言った。

「それが心配だって言っているのに…」

口をとがらせて反論した曽根原さんに、
「そうですよね、田ノ下さん?」

伊勢谷さんはあたしに話を振ってきた。

「えっ…まあ、はい…」

振られたあたしはどう返事をすればいいのかわからなかった。

と言うか、急に振られても困るんですけど…。
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