「田ノ下さん、もし伊勢谷さんに変なことをされたらいつでも言ってきていいからね。

私がすぐに退治してあげるから」

曽根原さんはパンチをする動作をした。

「ああ、はい…」

返事をしたあたしに、
「ひどいなあ、ジェントルマンなのに…」

伊勢谷さんは苦笑いをした。

そう言いあっていたら、
「皆さん、バスが到着しましたよ」

店長が食堂に入って呼びにきた。

「はーい」

あたしたちは返事をすると、荷物を手に持った。

「皆さん、社員旅行を楽しんでくださいね」

そう言った店長に、
「はーい、思いっきりハメを外してきまーす」

伊勢谷さんが元気に返事をした。

ハメって何ですか、ハメって…。

あたしと曽根原さんはお互いの顔を見あわせると、苦笑いをした。
< 46 / 275 >

この作品をシェア

pagetop