バスに乗って、隣のМ県にある高級旅館『花萌』に到着した。

「うわーっ、すごい」

バスを降りて旅館を見あげると、あまりの外観に絶句するしかできなかった。

こんな高級旅館、もう2度と宿泊できないだろうな…。

「いらっしゃいませ」

中に足を踏み入れた瞬間、女将たちが出迎えてくれた。

すごいな…。

もう旅館って言うレベルじゃないな、ホテルだ。

きらびやかなシャンデリアがつるされている天井を見ながら、あたしは思った。

エレベーターで最上階の7階に向かうと、
「じゃあ、僕たちはこの辺で」

部屋の前で曽根原さんと別れた。

「田ノ下さん、何かあったらすぐに言ってくださいね」

「はい、わかりました」

未だに心配そうな様子の曽根原さんに返事をすると、伊勢谷さんと一緒に部屋に入った。
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