箱庭センチメンタル



顔色ひとつ変えずに話す私に、彼女は困り顔。


一瞬、疑われているのかと思ったけれど、すぐに違うと気付く。



元は怠りが発端、加えて、度重なる失態と無礼の数々。


これだけの騒ぎだ、事が済んだ後に露見する事実もあるだろう。


よって、お祖母様の制裁が成されるのは必須。


長引けば最悪は免れない。


彼女らとしても早期で場を収めたく、急くのも無理はない。


当然の結果だろう。



けれどそれでも、個々に必ずしも責任があるわけではない。


現に今目の前にいる彼女は、全く別の雑務を請け負っているため、失態があるとは到底言えないのだ。


私手ずから快い対応をすればもしかしたら被害は最小限で収められていたのかもしれないというのに。


それなのに何故、私は…——。




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