箱庭センチメンタル
私は、彼の言葉を待っていたのかもしれない。
じっと、次の言葉を期待してしまっていたのだろう。
悩むように宙を見遣った彼は、ふ、と笑う。
「それでも追うよ。諦めない。
——向こうが諦めたって、俺が諦めるもんか」
妙な具体性を込めて言われて、不覚にも戸惑ってしまった。
これと言って重要性のない会話のはず。
けれど、私を見据える彼の目はひどく真剣味を帯びていて、とても冗談を言っているようには見えない。
その言葉は、どこへ向けて言っていたのか。
決意を秘めたような彼の活動原理はどこにあるのか。
知りたいと。
そう思ってしまった私は、どうかしてしまったのだろうか。