箱庭センチメンタル
振り払うように咳払いをした彼は、反省するように口を噤んだ私に問いかける。
「で、来るか?っても、汚いけど」
「……あの、ですが」
「迷惑とか思ってないから遠慮はすんなよ」
私の言葉が分かっていたような口ぶりで先回りをされて、不思議なことに何も言えなくなる。
けれどほんの少し、言われてほっとしたところがあった。
本当に頼ってもいいのだろうか。
考える間は、一瞬だった。
「あー、普通は嫌か。俺だってよく知りもしない奴はなあ…」
「よろしいのですか?」
確認するように、距離を詰めて問いかける。
なぜか表情を強張らせた彼は、ぎこちなく頷いた。
「え、あ、ああ。ひ、雛李がいいなら…」
「もちろんです。置いて頂けるのでしたら、何でも致します。どうぞお申し付けを」
「な、なんでも…」