箱庭センチメンタル
顔を合わせれば恒例の、腹の探り合い。
そんな小難しい説明を抜きにするのなら、事情は案外単純だ。
“損得勘定”
この世界は損失と利益のみで成立している。
彼は、私が今までに会った者の中で、3人目に異質な存在だ。
1人は皐、もう1人は今は少し疎遠になってしまって会ってはいないけれど、名家の者だ。
顔合わせくらいはこの先もあるだろう。
ともあれ、目の前の彼の本質を探ることは恐らく不敬に値する。
私に関わってくるくらいだ、彼の人を選ぶ基準は損得ではない。
つまり、表裏にあまり頓着していないのだ。
「雛李には名前で呼んで欲しいなあー」
だから、私は彼の事を信じたいと思ってしまったのかもしれない。
「なんてな、冗談だよ。流石にそれは……」
「真也」
「………え、」