箱庭センチメンタル
するりと唇から出ていった言葉は、彼の表情を凍らせた。
「……?あの、どうかされましたか?」
「………や、うん、なんか……照れた」
「はい?」
「や、何でもない」
その手のかわしを今日は何度見たことか。
やはり何も言わず、心の内に留め置いた。
「保て俺、特別な意味はない。大丈夫、大丈夫だって落ち着け…」
何やらぶつぶつと呟いているのは分かったけれど、その内容までは私の耳には届かない。
混乱しているのは分かったため、落ち着くのを待つことにした。
時折、頭を抱えて首を振るたびに揺れる髪に自然と目がいく。
色々な事がありそれどころではなかったけれど、今更ながら気になってくる。
身長、体格、顔形、どれをとっても日本人の特徴を捉えているけれど、髪色だけは、抜けるような輝きを帯びた見事な金色。