箱庭センチメンタル
不思議とそれは彼の容姿に溶け込み、違和感を感じさせない。
あまりに自然で、調和がとれていたからというのも気にならなかった理由の一つかもしれない。
「綺麗な髪ですね」
「ん、そっか?」
心のままに述べた感想だったのだけれど、無造作に髪をくしゃりとする彼は、そうは思わないらしい。
少し元気が無くなったように見える。
思案顔になった彼——真也は、髪を指先で遊ぶようにくるくると摘み、声のトーンを落とす。
「これ、地毛なんだよ」
濁りのない髪色が、陽に溶け込みそうに流れる様は、大いに納得できる。
彼はぽつりと小さく呟いた。
「昔はよく気味悪がられたっけな」
怒りも、悲しみも。
耳に届いたその言葉には、何も込められていないようだ。
けれど、きっとそうではない。