箱庭センチメンタル
「陽に透けるように柔らかく輝く、この髪が好きです」
言い切ったのち、迫り上がってきたこれは羞恥心……?
そんな、まさか。
そう一時は否定したけれど、思い直す。
あり得ないことはきっと無い。
そうでなければ、現状私がこうしていることはまず無かったのだから。
「ありがとな。
そう言ってくれるだけで百人力、ってな」
はっ、と見上げた先にはどこかで予想していた笑顔があった。
そうだ、私はこれを見たかった。
……私は彼に喜んでもらいたかったのだろうか。
自分の中で何かが変わり始めている、と直感していた。