S系御曹司と政略結婚!?
案内された部屋の襖を開かれる。その先に見た人たちに目を丸くし、思わず叫んでしまう。
「お父様とおじい様!?」
地獄という名の日々をもたらしてくれた、張本人の2人が正座をして待ち構えていたのだ。
「やっと来たか。遅いぞ華澄!」
おじい様は固い表情を崩すことなく、お茶を啜って私を詰る。……そもそも事前に呼ばれてないんですけど?
「神野君、すまなかったね。華澄はこの歳になっても迷惑ばかりをかけて恥ずかしいよ」
その傍らに座るお父様は眦を下げ、呆然とする私の隣に立つヤツへ侘びを入れていた。
ちょっと待ってよ!迷惑掛けられてる自覚はあるけど、被害者は私だってば!
「とんでもありません。副社長はじつに勉強熱心ですし、とても素直な方ですよ。ご評判どおり、優秀な御令嬢ですね」
嘘八百をさらりと口にしたヤツは仮面でキッチリと素を覆い隠し、うさんくさいスマイルを浮かべていた。
勉強熱心で優秀ですか、素直な方ですか。……どの口が言ったんですか?
いまだかつて褒めて貰ったことも、そんな素敵な言葉を頂いたこともありませんけど。
なにこの茶番……。堆積しているストレスが、ここにきて土砂のように猛烈な勢いで増加していくのを感じた。