S系御曹司と政略結婚!?
その神野さんは、私より4つ上の30歳。彼は入社以来、父の秘書を務めていた優秀な方らしい。
本領発揮していたところに、いきなり登場した私の教育係に回されたことは不憫でしかないけど。
——これだけは言わせて貰おう。決して私は父たちに頼んでません、と。
「ハァ、……バカなガキの面倒見るためにこの会社に入ってねぇよ」
あからさまな溜め息とともにメガネのブリッジを上げた彼には、事あるごとにイヤミを言われている。
毎日毎日、人を罵倒出来るドSっぷりには脱帽ですが。冷たい視線は本当に止めてもらいたい。
こっちも面倒見てなんて頼んでないし!パパが駄目だって譲んないのは仕方ないよね!?
なんて言い返すことが出来れば、どれくらい溜飲が下がるのかと思う。
もちろん言うのは簡単だけど、そのあとのしっぺ返しが恐ろしい。——“S”の塊の神野さんを怒らせるなんて。
そもそもの話、私には会社経営なんてムリ。会社を動かすことの責任と重圧は学ぶごとに増しているのに。
勉強漬けでもさっきみたいなイージーミスが減らない時点でダメだ。学問の勉強だったら、それなりに出来るほうだったのにな。
それに、今どき同族会社なんて流行らないよ?優良企業の重役ヘッドハンティングか、もしくは社内の優秀な方でも良いと思う。
だから、こんな時はつくづく思うの。……ああ、もう辞めたいっ!って。