あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


 出入りの納入業者さんか……
そう見えるかな。

一応これでも、いろいろ服装、考えて来たんだけどな。

私は自分の姿を見てみる。

シンプルなトレンチコートの袖をまくり上げ、それに、花柄のミニ丈のフレアースカートを合わせた。

シャツは花柄と併せて淡いブルーにした。

地元では、誇れる、考え抜かれたコーデなんだけどなあ。

しかも、コートは、いつものオリーブ色のコートじゃなくて、紺色に抑えた。

背の高い私は、髪をあまり伸ばしたことがない。

耳にかかるくらいのショートヘアで、ちょっと明るいブラウンにしている。

さっきのお姉さんも濃いグレーのスーツだし。

そういえばビルに入っていく人たちの中で、明るい色のスーツを着てた人は、誰もいなかったな。


出会う人のほとんどが、暗い色の黒とか紺色のリクルートスーツみたいな色の服を着ている。

この色しかいけませんって、言われちゃったみたいな。

そのせいか、みんな疲れたみたいに覇気がなく見えるのかな。

確かに、本社は、私がいた地方の支店とはだいぶ違う。

セキュリティーも厳しいし。服装もカチコチだ。

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