あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


ドアの前で、呼吸を整える。
どうか、気難しい先輩とか、鬼上司とかいませんように。

思ったより勢いよく扉を開けたら、勢いづきすぎてバーンと音がした。結構大きな音だった。


「すみませんでした」

失礼します!と声をかけて今度は、慎重にドアを閉める。

返事なし。


誰もいない?なに?もうすぐ始業時間だっていうのに?

まだ、誰も来てないの?


声をかけようと思って、入ったけれど姿が見えない。
オフィスはしんとしてる。

どんな仕事場か、好奇心に駆られて見たくなる。誘惑に負けてこっそり中の方に入ってみた。

決して悪いことをしようと思ったわけじゃない。
ちゃんと声をかけたし、声をかけられたら挨拶するつもりだった。

誰もいないところに、堂々と入っていくのは、ちょっと気が引るな。

でも、忍び足なのは、人間心理としてそうなっただけで、やましさからそうしたわけじゃない。



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