あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ



「今日、仕事が終わった後にでも、お時間ありますか?」

席に戻った藤原課長に声をかけた。

彼は、書類に目を通していた。
ゆっくりと顔を上げて言う。

「今日?家に帰ってからでいい?」

「はい」


今年の三月で満了となる、エビスヤとの契約も約束通り終わらせつつもりだ。

三月以降の課長の予定は、ほとんど白紙にしてあるか、入れてあるのは、国崎君に任せられるようなものばかり。

本当に、会社辞める気でいるんだと思うと、急に淋しくなる。


何となく、三月までという区切りが決まっていて、職場も自宅に帰っても一緒にいるという状態が、今だけの一時的なものだと二人とも考えている。



食事の用意を整え、彼が帰ってくるのを待つ。
食材を切ってしき詰めただけの、鍋料理だけれど二人で食べるとあったかい。

重い足取りで、帰って来た彼を温かく迎える。

お帰りと、声をかけてあげてキスしてあげる。

彼が喜ぶこと。

でも、こんな些細なことと、アメリカに勉強に行くことを天秤にかけていいものかと私は考える。

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