あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「外国に行かなくても、エビスヤに籍を置くわけには行かないの?」
会社の中にいれば、まだ方法はあるかもしれない。
社内研修とか。
「ふーっ」と息を吐いた。
そうして彼は、私の頭を、自分の胸に引き寄せる。
「決められた仕事は、期限までにキッチリ仕上げる。今回も大まかな枠組みを仕上げて、それなりに後を託す人間に任せられるようにしてきた。これ以上は、俺の仕事じゃない」
「じゃあ、四月からの事、何か考えてる?」
上着を脱いで、ようやく食事を口にしながら言う。
「いくつか候補は上がってるよ。その中から選ぶかもしれない」
「希望してる仕事ががないの?」
「急だったからね。もう少し、時間をかければきっと見つかる」
「やっぱり、外国に行った方が……」
「希海、その話は……」
「もし、私が外国に行けば、あなたも一緒に行けるんでしょう?」
「それはそうだけど。そんなことできないだろう?」
「えっと、考えてみる余地はあると思うの。一か月分、まとめて送ってもらうとか」
「自社のプリンをか?」彼は、大声で笑い出した。
「ええ」
「冷蔵庫の中がどうなっちゃうのか、考えるだけで気持ち悪くなる」
「ああ、裕二さんやっぱり、甘いもの嫌いでしょう?」
「それが、何か問題か?」
「自社の製品を食べられないなんて」
「俺は、営業しに来たんじゃない」
「美味しいのに」
「希海、無理するな。もういい、結論は出したって言ってるだろう」