水色ガールフレンド

「何もないけど?」

籠に俺と雨音の鞄を入れて進行方向へと反転させ雨音の隣に並ぶ。

「じゃあ、一緒に見よっ!」

満面の笑みを向けて言う彼女に顔を引きつらせると、俺の返事を聞くこともなく

「大丈夫!ぜぇ―たい怖くないから」

自信満々にそう言い放った。

正直雨音と雨音の家で映画を見るというシチュエーションはこれ以上ないってくらい羨ましがる奴もいると思う。

「ホラーって程ではないって、どっちかって言うとオカルト系かな?」

雨音はそう言うけど、ヘタレな俺にとってはハッキリ言ってオカルト系もよろしくない。

不安が残る中、雨音の家に着いた。

「着いたっ!ここ。
自転車はこの奥に駐輪場があるからそこに止めて。」

言われるまま自転車を止めて自動ドアが開き中に入る。

エントランスで暗証番号を入力して再び自動ドアが開くとエレベーターに乗り、横に703号室“雨音”とネームプレートのあるドアの前に着いた。



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