陰にて光咲く



警察が3人がかりでさおりを取り押さえた。


「いやっ離して‼︎拓夢と死なせてよ‼︎」


さおりは激しく抵抗する。


そして両腕を押さえこまれたまま、部屋の外へと連れ出された。


その際にもさおりはずっと叫んでいた。


「あたしは拓夢と愛し合ってるの‼︎拓夢っ拓夢ー‼︎」


その叫び声は部屋の外からでも、絶えることなく聞こえてきていた。


そこで自分は助かったんだと、ようやく悟る。


アズマは一人の警察官に縄を解かれていた。


そして、


「竹内アズマだな?大麻取締り法の容疑で署まで来てもらおうか」


アズマは覚悟した表情でうなづく。


警察官がアズマの腕を掴み、部屋の外へ連れ出されてしまった。


俺はその背中を見送るだけで、何も言うことができなかった。


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